【黒歴史】どうしても腐女子にはなれなかったティーン

幼い頃、私の愛読書は「なかよし」でした。学年が上がると共に「りぼん」や「マーガレット」に移行していった記憶があります。

少女漫画を好んで読んでいましたが、兄がいたので「ジャンプ」や「サンデー」も手を出していて、なかなかのMANGAフリークだったと思います。

積み重なった厚みのある「りぼん」が、突如遅い来る地震によって何度崩れ落ちたことか。私はこの「りぼん」に潰されて死ぬんじゃないか。そんな風に思ったこともありました。

学校の教室でも漫画の貸し借りは普通に行われていて、当時ドハマりしていた多田かおる先生の「イタズラなKiss(イタキス)」を休み時間になると血眼になって読み漁っていた記憶があります。

そんなごくごく一般的な少女漫画と少年漫画の間に、時折珍しいものを目にする機会がありました。

表紙を飾っているのは男×男のイラスト。片方は女っぽく見えるけど、制服が男子だから多分男。

ボーイズラブという世界を知ったのは、小学生高学年の頃だったかと思います。

友達が持ってきた1冊の本、好奇心で読んでみましたが幼心にはなかなかショッキングな世界でありました。

まるで親に隠れてエロ本を盗み見してしまったような気持ち。
なにせボーイズラブの物語は、そういうシーンが多々盛り込まれています。少女漫画や少年漫画ではまず有り得ません。あってもオブラートに包むか、そういったことがあったと匂わす程度。

あんなに堂々と、しかも数ページにも渡って、というかまさにそこを描きたいがために生み出されたような物語。

意地悪なクラスメイトの男子が、雨の中で捨てられた子猫を拾うのを見て、キュンとなるような少女漫画の王道を突っ走っていた自分にとっては、開けてはいけない扉を開けてしまった。まさにそんな感覚でした。

衝撃は受けたものの、自分はボーイズラブにどっぷり浸かることはありませんでした。

しかし周りの友人たちの中にはBLを主食とする人たちもいたため、よく漫画を貸してくれていました。思えば、あれは普及活動だったのかもしれません。

中学へあがると同人活動をする者も増え、その中にはBがLの内容を盛り込む人も少なくなかったと思います。

私も小学3年の頃から漫画を描くことを覚え、将来は漫画家を目指していたこともあり、原稿用紙の前で過ごすことも多かったのですが、同人活動には至りませんでした。
元々ある漫画を描くよりも、オリジナルで描いた方が断然楽しいと思っていたためです。

だから周りがどれだけグッズ作成だのスケブだのと盛り上がっていても、ひたすら少女漫画を描いていた時期がありました。

時にノートに鉛筆で描いた漫画を友人に見せることもありました。

友人からこんな漫画を描いてほしい!と要望があると、つい嬉しくなってやる気が出てしまうんですよねぇ。

ある時、仲の良かった友人から私の描くBLを読んでみたいという声があがりました。
当時15歳、そういった世界があるとは知っていたけれど、1度も描いたことはありませんでした。
しかし期待に満ちた目をした友人からヨイショされてしまっては、やる気しか湧いてきません。
そして描き始めた生まれて初めてのBL漫画。

タイトルは、

Kiss Me Deadly

どういう意味なのか、今翻訳してみたら「致命的なキスを私に」だそうです。
おそらく当時好きだったラルクのツアータイトルから拝借した記憶。だからキャラクターもメンバーのビジュアルを真似しています。

まぁとにかく横文字を使ってみたかったんでしょう。15歳の私は。

 

あらすじ

魔物がはびこるどこかの町で、18歳の天野竜児は魔物狩りにスカウトされます。
成功すれば10万円。お金に目がくらんだ竜児君は指定された場所に向かいますが、そこで恐ろしい魔物とご対面。武器としてもっていた鉄パイプはあっけなく砕かれ、絶体絶命。そこへ現れたのが、同じく18歳の湊君。湊君は魔物狩りのプロでした。

湊君は竜児君を小馬鹿にし、からかって楽しんでいます。そんな湊君をはじめは気に入らない様子の竜児君でしたが、徐々に2人は引き寄せられて―――。

 

ちなみにCampusノート3冊分です。
魔物狩りっていうのがまず、ありがちなテーマですよね。これを黒歴史と呼ばずして何という。
友人のために描いた漫画なので、読者も友人1人だけです。しかもその頃は受験シーズン真っ只中。勉強しろよ。

 

表紙

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色鉛筆で頑張って塗ったよ。
コピックなんか高くて買えなかったよ。

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適当に見えるコマ割ですが、実際適当です。

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 ちゃんと女キャラも登場してライバル的な存在を作っている!

 

でも結局、竜児君は死んじゃうんですけどね。
悲恋だったんだ…。少女漫画で育った割に、なかなかのバッドエンドでびっくり。

こうしたノート漫画だったり、プロットだったり、ネームだったりが、もう山のように引き出しの中にしまってあるんですが、いつまで経っても捨てられないんですよねぇ。

なぜだろう。アルバム的な要素を含んでいるんでしょうか。とにかく漫画を描くことが大好きだったティーン。
けれども、このBL漫画は私にとって最初で最後の漫画となるのでした。
これがきっかけでBLに目覚めるとか、もっと描きたい欲求に駆られることがなかった。

 

おっさんずラブなんてドラマが放映されるほど、ボーイズラブという文化は未だに廃れることがないようです。今や2次元にとどまらず3次元まで。
やれあのカップリングがどうのこうのと、盛り上がっている方々を見ると、素直に羨ましいって思いますね。だって楽しそうなんだもの!隣の芝生は青い青い!

どうして自分はBLに目覚めなかったのだろうか。

たびたびこの疑問が頭に浮かびます。

描きたい!という欲には恵まれなかったものの、今でも欠かさず読んでいるBL漫画はあります。

ヨネダコウ先生の漫画は全部集めています。「どうしても触れたくない」から入り、今は「囀る鳥は羽ばたかない」の新刊を待ち望んでいます。
この方は別格だ。BLを読んで泣いたのははじめてでした。なんかどう表現していいかわからないんですが、とても繊細なお話たち。じわる涙。だけど私は一体誰に感情移入しているの?

 

漫画家を目指していた時期があっても、どうしてもBLには触れたくない。いや、触れられなかった自分。目覚める人とそうでない人の違いってなんなんでしょう?そこが知りたい。意外と奥深い心理が隠されているんでしょうかっ!

最初で最後のBL漫画を描き終えてから、私は「りぼん」へ漫画を投稿し始めました。
それはまた別の記事でお話したいと思います。