ボランティアとバイトで『ボラバイト』は今も健在だった話。その3

ボラバイト体験談、第3話です。

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 ここでは、ボラバイトで出会った人たちについてお話します。

私が北海道の牧場へボラバイトをしている時、他にもボラバイターがいました。蝋泣く男女問わず…といっても、ほとんどが10代後半から20代くらいの若い子たちです。

最初に出会ったのは少し年上のお姉さんでした。
自分探しをしたいということでボラバイトに参加した模様。女の子らしく、動物が好きな人でした。

ある日、出産後の牛が起立不全に陥ってしまったのですが、牛は馬と同様に立てなくなってしまうと終わりなんですね。重機を使って畜舎から出して様子を見たもののやはり状態は変わらず、結局ドナドナ(お肉になるために運ばれていく)されてしまったのです。その状況を見て涙する心優しい女性でした。

彼女が元の居場所へ帰った後、代わりにやってきたのが高校を卒業したばかりの男の子でした。スポーツをやっていたとかでかなり体格が良く、体力に自信があるのかと思って期待していたら、実際はダメダメでした。

搾乳途中で勝手に休憩して、己の体力のなさを見せつけるシーンがしばしばあり…叱られるとふてくされた態度を取る…今思えば彼はまだ子供だったなぁと思います。

免許はあるけどペーパードライバーだから1人で運転できないっていう難ありで、彼の買い物に付き合わされることもありました。

彼は2か月くらいで辞めていきました。ボラバイトも向き不向きありますが、実際やってみないとわからない部分も多いです。

始めにどのくらいの期間を希望するか聞かれますが、合わないと思ったら辞めることもできます。こればっかりはしょうがない。

彼がいなくなってからしばらくしてやってきたのが、これまた私より2、3つ年上の女性でした。とても可愛い方で、ボラバイターの中では1番仲良くなった子です。

彼女の志望動機というのが「彼氏への依存を克服したい」という裏表のない率直な動機で、お母さんと思わず顔を見合わせてしまったんですが…でも私的にはすごく話しやすかったし、一緒にいて楽しい子だったので、そのうち同じ部屋に住むようになりました。

だがしかし!この子がのちに波乱を呼び寄せることになるのです!!

いや、元はといえばオーナーの奥さん、(ここではお母さん)に原因があるんですけども。
このお母さん、実は結構癖がありまして。何度も同じ話をしたり、説教じみた話をしたり…苦手な人には苦手なタイプというか。私は「ハイハイ」と聞き流すタイプだったのですが、彼女は苦手だと感じてしまった。ここがすべての始まり。

お母さんが苦手と感じた彼女は、オーナー(ここではお父さん)とばかり話をするようになっていきます。そこで普通なら「私って避けられてるのかしら…」と考えるところ、お母さんは違う解釈で捉えてしまったんですね。

それが

「あの子、お父さんに気があるんじゃないのかい?」(~かい?って喋る人だった)

親子ほど年の離れた雇用者と労働者ですよ。上司になつく部下ですよ。どうしたらそんな風に見えるのか!相当びっくりしましたし、すぐに「そんなはずはない」と否定したんですが、お母さんの疑惑は深まるばかり。

お母さんはお父さんにベタ惚れでしたから。それは表情やお父さんを語る口調やらで何となく察してはいたんですが、だからってボラバイターに嫉妬するとは。

もちろん彼女自身も「はぁ?!」という感じで、まったく相手にせず。
余計にお母さんと話さなくなる(お父さんとばかり話す)→お母さんますます疑うの無限ループです。

妄想が酷くなるにつれてどんどん怖くなりましてね。いくらお父さんを溺愛しているとはいってもね。

お母さんは最後の最後まで彼女はお父さんに気があると思っていました。

ボラバイトを卒業してから1年後くらいに遊びに行った時も、やっぱり同じことを話していました。お母さんの中で彼女はもうお父さんに色目をつかったボラバイターとしての認識しかないんです。こわやこわや…。

そんな彼女とは、同じ日にボラバイトを卒業するくらい仲良しになりました。最終日、私はウィルス性の胃腸炎に苦しんでいました。数日前、彼女が患っていたのをもらってしまったんです。牧場で働きだすとお腹を壊すのはよくある話。まぁ、動物を扱う仕事なのでね…。

今頃元気にしているんでしょうか。携帯を変えたりしているうちに連絡が取れなくなってしまいましたが…きっとお互いにボラバイトでの思い出は色濃く残り続けるのだろうなと思います。

 

次の記事では、牧場生活で起こった珍騒動をご紹介したいと思います。たった8か月。だけど本当にいろいろありすぎた。